2009年03月25日

漫画で楽しむ着物 その14

 3月はいろいろあって着物でお出かけできないので、とりあえずたまった漫画ネタを書こうかと思う。

波津漫画.jpg 『雨柳堂夢咄』からはまった波津彬子さん。着物の書かれている漫画文庫は全部大人買い(写真は一部)。

 いやー、どれもこれも見ごたえたっぷり。泉鏡花原作ものの「鏡花夢幻」なんて、原作の妖しい雰囲気に絵柄がぴったりで、うっとりである。「魔のもの」がほんとに魅力的なんだよね。
 舞台衣装のような着物がまた、どのカットも美しい。文庫にもカラーページがあるといいのにな〜。

異国の花守.jpg 波津彬子さんご本人も着物でサイン会などされているそうで、着物に対する愛情を感じる。それがストレートに感じられるのが「異国の花守」。
 波津さんが住む金沢という土地と、日本文化への思いが溢れた作品だと思う。メインの登場人物は、大学を出たものの就職しそびれてぶらぶらしている雛子。茶道教授の大叔母、和歌子。その大叔母のところへお茶を習いに通っている、英国人で「日本オタク」なアレックス。そして、大叔母の庭に住む椿の精。
 ストーリー展開はとても地味なのだが、雛子がだんだん「花守」(文化の守り手、というか)に目覚めていき、アレックスとの恋を育てていく様子が丁寧に描かれている。しみじみ心温まる作品という感じ。失われゆく和の文化への思いが、アレックスの台詞を通して語られる。決してノスタルジックにではなく、未来につなげるものとして。

 お茶のお稽古風景がたびたび出てくるのも、習い始めた身にはとても嬉しい(波津さんの趣味もお茶だそう)。立ち居振る舞いがきれいに描かれているのもいいなあ。

 金沢は最近行ったけれども(仕事で)、古きよき街並みはほんとうに観光地化されている一部で、ほとんど「どこにでもある地方都市」の雰囲気だった。でも、こういう家がまだどこかにあったりするのかな。
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2009年03月14日

越後上布体験講座に参加 その2

 雪中に糸となし、雪中に織り、雪水に濯ぎ、雪上に晒す。雪ありて縮あり、雪こそ縮の親と言うべし。
by北越雪譜(鈴木牧之著)

 縮、というのは上布のこと。まさに雪の中で生まれる織物、越後上布。その仕上げが有名な「雪さらし」である。
 着物好きな人なら、いつか見たいと思っているもののひとつじゃないかな?

雪さらし会場.jpg 今年は雪が少なく、予定の場所を変更して、少し山の上にのぼった「さらし場」へ。

 「さらし場」は、きれいな雪のスペースを確保して、布の長さにあわせて、両端に通路をつくる。で、二人がかりで布を広げてきれいに並べていくのだ。

 本来は、太陽熱で雪が溶けたときに発生する、オゾンの作用を使って漂白するものなので、天気のいい日にやるものだという。
 今回はこのイベントのために、つまり私達40人の参加者のために、本来はやらない天気の日にデモをしてくれた形である。


雪さらしの布たち.JPG 雪さらしのために準備された上布。参加する前は、ぬれて大丈夫なの?! とか思っていたが、麻はさんざん濡らしても大丈夫な布らしい。

 1日だけ雪さらしをする、というからほんとに1日で作業をするのかと勘違いしていたが、それは「観光向けには1日」ということで、実際には天気のいい日の朝から晒して夕方取り込み、というのを一週間から10日繰り返すものらしい。結構重労働なのだ。


雪さらしする娘.jpg 雪さらし中の娘。2人1組になって、布の両端をもって移動し、同時に雪の上にはなす。

 濡れた布は案外重く、途中でうっかり離してしまう人もいた。ベテランの方がすかさずフォローしていたけど。簡単に見える作業だが、これも熟練の技がいるものだという。




雪さらし布.jpg そして、雪の上に広げられた色とりどりの上布。
 ちらちら雪の舞うお天気は残念だけど、やっぱりきれい!

 じっくり見とれつつ、解説を聞く。娘はあっという間に飽きて、雪だるまづくりに夢中(笑)。友人の娘さんたち(初対面)と一緒に楽しんでいた。仲間がいてよかった・・・




里帰りの布.jpg
 「里帰りの布」という言葉を今回初めて聞いた。
 越後上布は、着古して洗い張りするときに、布につなぎなおして雪さらしをすると蘇るのだそうだ。これらの布は、もう30年ほど前に織られたものだという。
 薔薇の柄の上布なんて初めてみたけど、当時の流行りらしい。織りとしては横糸だけで柄がつくれるので、そう難しくないそうだ。
 何度も里帰りして雪に晒される布。いいなあ・・・

 雪さらしが一段落したら、開催中の「天地人博」に誘導され、ここの入場券をもらって解散。これで参加費3000円(昼食込み。娘は2500円)。安すぎない?!
 それに、着物好きが40人も揃っているというのに、店のひとつにも案内されず。上布はさすがに買えないけど、塩沢紬とか小物だったら、絶対参加者は買ったと思うけどなあ。商売っ気なさすぎ。
 教育委員会の主催だからなのかな。

 実はこの企画の主催者の一人が、前に仕事でとってもお世話になった方だった。世の中狭い。ちゃっかり夕食の店を推薦してもらう。
 越後湯沢で「あさくさ」という釜飯の店に。美味しかった! Mさんありがとう!!

 そんなわけで、とても充実した旅だった。主催の皆様に感謝。同行してくれたWちゃん、現地で遊んでくれたIさん一家もありがとう!

越後屋饅頭.jpg おまけ。「天地人博」で買ったお土産「越後屋饅頭」。
 饅頭の入った箱が二重底になっていて、下に小判型クッキーが入っている。受け狙いで思わず買ってしまった。大河の出演者たちもお土産に買って帰ったそうだ。
posted by みず穂 at 00:59| Comment(4) | TrackBack(0) | 工房探訪・体験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月13日

越後上布体験講座に参加 その1

 先週末、新潟県塩沢の「越後上布講座」に次女連れて参加してきた。
2回にわけてご報告。

 前に塩沢で機織り体験したときに(記事はこちら)、雪さらしを見学できる日が1日だけある、と聞いていた。
 で、そういえばそろそろか、と思い出してネット検索してみたら、「越後上布体験講座」の案内が!! しかも、めずらしく予定の入っていない土曜。これは運命だ! と速攻申し込み。
 まだ定員になっていない、と聞いて、着物友達に声をかける。連れもでき、次女も一緒に行くといってくれて、ますますテンションあがった。

 翌日にはしっかり予定があったので、6時前に起きて日帰りの旅。スキーシーズンで新幹線の指定がとれず、自由席に並んだ。ぎりぎり座れて、ほっ。
 で、やってきました南魚沼市。

越後上布.jpg 会場は塩沢織物会館。普通の公民館という感じの建物だ。受付して部屋に入ると、正面に越後上布。透けるような美しい布だ。色は地味だけど、やっぱりいいなあ。


青苧.jpg 原料の青苧、苧績み糸、撚り糸が並べてあった。

 麻を爪でものすごく細かく裂き、唾液で濡らしながら手で撚りあわせていく。水で濡らしながらさらに撚りをかけて巻き取り(撚り掛け)、灰汁と米のとぎ汁で8時間煮込み、水洗いし、さらし粉をといた水の中で4〜5日さらし(糸さらし)、糸繰りをし、のり付けをし・・・
 気の遠くなるような工程を経てやっと糸になる。そしてそれを絣くくりして染める。このへんは、久留米絣の工房でみたのと同じような工程だ。

 麻は乾燥しやすく、常に水を補給しながらの作業だという。雪で湿度が高いので、雪国は麻の布づくりに向くらしい。けど、寒さとの戦いだ。

絣くくり.jpg 一通りの工程をビデオで見せてもらい、話も聞いて、工程の体験へ。苧績み(糸を裂く)、のり付け、伸べ、絣くくり、いざり機織りが体験できるように準備してあった。

 絣くくりに挑戦する娘。染めの間にとれないように、さらに、染め終わったらすっと取れるようにくくらなくてはならないが、これが難しい・・・しるしつけをした場所にきちんとくくっていくのも大変だ。

 これだけでも一反で二ヶ月くらいかかる作業らしい。
 くくったところが染まらないから柄が出せるわけだが、何度見ても不思議だ。みているとわりと単純に柄を計算してしるしをつけているのだが・・・

伸べ.jpg 「伸べ」体験している私。いってみれば染めの下準備である。工程としては絣くくりより前で、この作業があって初めてくくる場所を計算できる。

 写真ではわかりにくいが、「経箸(へばし)」という特殊な道具を使っている。長い竹の中に糸をとおして、立った姿勢で効率よく作業できるようにしているのだ。つらい作業を少しでも楽にしよう、という知恵なんだろうな。

いざり機.jpg そして、いざり機。これが体験できるとは思わなかった。高機体験はあちこちにあるけど、これは「見るだけ」って感じだったので。

 まず身体にとりつけるところから苦戦。これ、一度取り付けて織りはじめたら、ずーっと織り続けなんだろうなあ、という感じがする。

 自分の体が機の一部になる織り。体が安定しなくて織りづらいが、人間の身体で調子を整えて織るからやわらかな織りになるとも聞く。

足と腰で経糸を上下させる。慣れると楽しいかも。慣れるほど長い間やらせてもらえなかったけど(笑)。

織られる布.jpg このときも、大きな麺棒のようなもので布を濡らしながら織っていた。湿度が大事だから、寒い部屋で織るんだろうなあ・・・一反織り上げるのに2〜3ヶ月かかるというから、まさに一冬に1〜2枚しか織れないという感じなんだろう。

へぎそば.jpg 午前の部はこの部屋の体験まで。午後の雪さらしに行く前に、塩沢名物「へぎそば」で昼食。

 そばは布海苔でつないでいるので、少し緑色をしている。てんぷらとコシヒカリおにぎりもついていた。
 へぎそば、という名前はこの盛り付け方からくるらしい。布海苔つなぎは、織物で使っていた布海苔からきているという説もあるそうで、織物ゆかりのそばとして紹介されていた。しこしこして美味しい。


 実はお天気がいまひとつだったのだが、午後はマイクロバスで待望の雪さらしへ。以下、その2に続く。



posted by みず穂 at 22:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 工房探訪・体験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月11日

お手前デビュー

 9月にはじめたお茶のお稽古(当時の記事はこちら)、月1回でぼちぼちと続けている。
 最初は「お客さん」のお席入りからはじめ、袱紗捌きなどの割り稽古があり、ついにお手前デビュー。

お手前デビュー.jpg 緊張した〜。
他の人がやっているのを見ながら、陰で手順を復習したりしているのだが、いざ自分でやってみると頭真っ白。先生の指導どおりに動くのが精一杯という感じ。大汗。
 所作の決まりが多くて大変、という感じもするが、これをこなすと無駄なく美しく動ける気がする。日舞にも通じるかも。お茶をたてるのも、うまい人がやると本当に美しい。がんばるぞ。

お手前の帯.jpg 実はこのお手前デビューは2月22日。そろそろ梅の柄も終わりか、ということで梅のお召しを着ていった。
 帯も久しぶりの名古屋帯。これは母からもらって一度も締めたことがなかった七宝柄。でも、よくみると紅葉がアレンジされている気もするし、もしかして秋の柄?! 
 これは重宝されていた帯らしく、ちょっと擦り切れているところもあるのだが、ちょっと固めで重たい感じがする。半幅に慣れているせいか・・・

 失敗したなあと思ったのは、ちょっと身幅の狭い着物だったこと。普段歩き回るのに支障はないんだけど、お茶の所作をやると、ひざのあたりが、ぱかっと割れそうで冷や冷や。お客さんならまだいいけど、お手前の時は身幅が広めの着物でないとつらいなあ。
 本格的にお茶をやっている方は着物の身幅を広めにつくったりもするようだ。

母の訪問着.jpg この会で初釜をやったときは、久しぶりに母から譲られた訪問着を着た。
 娘の入学式で一度着て以来。
 母が一番好きだった着物らしい。なんだか不思議な色付けだ。模様は多分四季の花? 地模様は青海波だろうか。軽くて暖かく、身体になじんで着やすい。大事に着ようと思っている。
 裏がずいぶん色あせているので、そのうち洗い張りして裏をつけなおそうかな。

とんぼの草履.jpg そうそう、この前買った印伝の草履をおろした。やっぱりこういう柄は白足袋が似合うかも。
 今のところ、白足袋履くのってお茶のときだけなんだけど(おしゃれというより、汚れるから)ね。


posted by みず穂 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 和の文化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする